
分度器ドットコムオリジナルの芯研器、tortoise。名前の通り、亀のような六角形のデザインがかわいい多芯径対応の芯研器です。穴の配置も美しいですね。切削加工したウルテムも、現在売られている文房具には望めない質感のよさです。対応している芯径は、1.2mm(1.18mm)、2.0mm(鋭角用)、2.0mm(鈍角)、3.2mm(3.0mm)、3.8mm、5.8mm。今までの芯研器にはなかった1.2mm穴が何といっても嬉しい規格です。なお、今回5.8mm芯が手元になかったので、5.8mmの穴は試していません。

そんなわけでまず、1.18mmの黒芯を削ってみました。削り味もよく、きれいな円錐形が出来ます。こういうのが欲しかった。これで2.0mm芯研器で苦労して削ることもありません。ちなみに回転繰り出し式の場合、芯固定が甘いために空回りして削りにくいものもあるので、その場合は芯を抜いて削る必要があります。試してみた範囲では、以前紹介した、Manufactum Drehbleistiftは空回りするようですが、ScriptoやAutopointはそのまま削れるようです。YARD-O-LEDは手元になかったのですが、同じ仕組みのKANOE製ペンシル(4色式ではないもの)は使えたので大丈夫かと思います。ただし、Autopointのような中押し式は、尖らせると芯を引っ込めるのが難しくなります。
削るのに熟練を要するのは色芯です。粉のように削れず、力を入れると芯が折れたり欠けたりしてしまいます。私が一番使う色芯はAutopointの1.18mm赤芯とフエキの2.0mm赤芯なのですが、Autopointの赤芯は強度を保つため粘性があり、フエキの赤芯は柔らかくて欠けやすいので結構難しい。そこで、この芯研器をデザインしたそんちょさんに、削り方を教えてもらいました。

こんな感じでペンシルを垂直に立て、ノック部を軽くつまんで回します。偏りなく力を入れずに回すのがコツです。余談ですが、フエキの製図用シャープは構造上、軸を持って回しても芯が回りません。ノック式芯ホルダーの場合、この仕組みになっているものが多いので、その場合はノック部をつかんで回さなければなりません。他にも、回転繰り出し式ですが、パイロットのCROQUIS(3.8mm穴)も尾部を持って回す必要があります。

ちょっと気になる点。1.18mm芯を削る際にはこのくらいの芯を繰り出して削る必要があります。ただ、1.18mm芯のヴィンテージ物は収納できる芯の長さが短いものが多い(特に多色ペンシル)。これだけの長さを繰り出すだけで芯を出し切ってしまう場合があります。

公式ではありませんが、1.2mm穴は一部の1.3mm芯が使用可能です。私が試した範囲では、ぺんてるのマークシートシャープ用芯(HB)が使えました。教えてもらったところでは、ぺんてるのOEMと思われるタジマの1.3mm赤芯は穴に入る芯と入らない芯があるそうです。また、私の持っているARISTOの1.3mm芯は1.2mm穴に入らなかったのですが、これも芯によっては入るものがあるそうです。ちなみにARISTO 3fitにぺんてるの芯を入れてみたのですが、クラッチするものの、ノックするとドロップ式芯ホルダーのように芯が落ちてしまいます。太芯になってしまうと、規格が結構緩やかになるのか、膨張率の問題があるのか・・・。
他にも、4.0mm芯で3.8mm穴が使用できるものもあります(3.8mm以上の穴は、鈍角で削れるようになっています)。多芯径対応だけあって、使い方や楽しみ方は他にもありそうですね。
【参照サイト】分度器ドットコム -
【CUA product】 Lead Pointer "tortoise"
"tortoise"はこちらで買うことが出来ます。一個8,400円。
*You can purchase this leadpointer at "Bundoki.com" via Paypal, even if you are not in Japan (click here).
デザインの周辺 -
Lead Pointer "tortoise""tortoise"をデザインしたそんちょさんのサイトです。今回はお二方に感謝するばかりです。
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- 2008/03/10(月) 22:25:45|
- miscellaneous
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| コメント:7
孔が上面ではなく側面に一つづつ空いて刃が上下面に取り付けられていたら、芯を回すとき力が分散しにくくまた削り滓の掃除もしやすいんじゃないかなー
とか思ってるんです。
でも欲しい。何gくらいなんだ。
- 2008/03/14(金) 21:11:23 |
- URL |
- 魚眼 #-
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どういう感じになるかはあまり分からないかもしれませんが、
それだと1面に刃がたくさん付く感じになってしまいますね。
上にも書きましたが、置いて削る場合は
現行のほうが安定があっていいかもしれません。
削りかすも取り除きやすいように工夫されていると思います。
重さは約18グラムですね。
- 2008/03/20(木) 15:41:21 |
- URL |
- isu #uaIRrcRw
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isuさん、素晴らしいエントリーです。
モノづくりに携わったものとして、すごく嬉しいです。
ありがとうございます。
1.18ミリ芯を研ぐときの繰り出し長さは迷っちゃったんですが、今の形にしました。
もう少し短くすることもできたのですが、形に影響するのと、ただでさえややこしい加工がもっと複雑になってしまうことになるので...
魚眼さんのアイディア、面白いです。全体のサイズが大きくなってしまうことや刃の取り付け方法とか、難しいところがありますが、研いでいるときにカスが落ちないのは良いかも知れない。でも、isuさんがコメントしているように、掃除は今の方がやりやすいと思います。ありがとうございます。
- 2008/03/20(木) 22:08:20 |
- URL |
- そんちょ #-
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18gは軽い。ロットリング600くらいですね。
分度器ドットコムの素材の説明を読むと、落としてしまってもその軽さとあいまって欠けることもなさそうで、これは素晴らしそうです。
芯を差し込む方向を六角形中心にし、刃を上面に三枚、下面に三枚据えるんです。
水平面(六角形)中央へ傾斜するスロープを120°ごとに設けてここに刃を据え、中央の凹みに削り滓が溜まるようにするのですよ。
いややっぱり溜まらないような気がする。
- 2008/03/21(金) 00:58:48 |
- URL |
- 魚眼 #-
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5.8(5.6)ミリ用芯削りは、エーマンやワルサーにありますが、このtortoiseが一番削りやすいです。
特に、鈍角に削れるのがよいですね。
普通の鉛筆削りで削ればどんどん鋭角に削れて困ってたので、一番のお気に入りになりました。
確かに、削り滓の処理は気になるかもしれませんね。
私は、ティッシュの上やごみ箱の上で削ってます。
当初アルミで考えられてたのが、このすばらしいプラスティックの材種に行き当たったのは
本当によかったですね。
大きさや重さは、本当に使いやすいものです。
- 2008/03/21(金) 13:50:03 |
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- JIN #CkdVqA2Q
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>そんちょさん
書くのに時間がかかった拙いエントリですが、
喜んでいただいて何よりです。
Pencil talkさんでも私の写真を使っていただいたので、
これで少しでも注目される手助けができればいいのですが・・・。
芯の長さですが、個人的には4色ペンシルはあまり削って使わない
(マーキング用途が多い)ので、実際の使用に関しては
あまり困らないかもしれません。
>魚眼さん
なるほど、上下に三つ葉のような感じで葉を付けるわけですか。
ただ、上面下面方式(勝手に命名)だと、
今度は芯研器の直径が大きくなりそうな気がします。
その辺はもう、好みの問題になってしまいそうですが。。。
この質感のよさは是非手にとって欲しいんですが、
8,400円はちょっとした冒険ですよね。
>JINさん
さすが各芯径を使い込んでますね。
私なんかよりもいいレビューが書けそうな気がします。
私は太芯を使う機会がないのですが、
太芯が綺麗な鈍角で削れるという点も
"tortoise"の注目すべき点なんでしょうね。
- 2008/03/21(金) 21:57:40 |
- URL |
- isu #uaIRrcRw
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isuさん、私のブログにpencil talkさんのブログを見たとおぼしき人がさっそく見に来てくれています。効果絶大です。
JINさん、3.8と5.8mmの太い芯の研ぎ角度は設計でかなりこだわったところです。ペンを立てれば文字が書け、少し寝かせると研いですぐでも塗りの作業に入れるようにしました。気に入っていただいてとても嬉しいです。isuさんのブログの場をお借りしてお礼申し上げます。
- 2008/03/21(金) 23:48:48 |
- URL |
- そんちょ #-
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