
ぺんてるのグラフギア500。ダブルノック式のGraphGear 1000と同様、0.5mmならスーパーの文具売り場で「吊るし」で売っているくらい、非常によく見かける製図用ペンシルです。今の中高校生ならこのペンシルから製図用シャープを知った方も多いかと思われます。このシャープペンシルの特徴は、やはりこのグリップ部分でしょう。非常によく出来ているし、口金とグリップが一体なのもいい。ただ、このグリップに大部分コストがかかっているのかどうかは分かりませんが、再生プラスチックのグレー軸がちょっと安っぽい。これじゃなければいいのにと思っていたところ、最近、相互リンク先の
Lexikalikerさんのエントリを見て、海外の方では黒軸があることを知りました(さらに調べると芯径ごとに色が違うみたいです)。同じぺんてるではありますが、その点は海外の方がよく「心得て」いますね。もっとも、国内で売られているグラフギア500は、500円という価格設定による制約があるのでしょうけど(アメリカでは定価6.5㌦のようです)。
そんなわけで、こちらです。

海外仕様、黒軸のPentel GraphGear 500・・・え、何かロゴが違う?
・・・そうなんです、こちらは実は海外仕様ではなく国内のぺんてる製品なんですよ。Lexikalikerさんのところの画像を見て「この黒軸、もしかしたら『あれ』を・・・」と思いちょっと試してみたら、ピッタリだったのです。この黒軸を見て、分かる方はすぐ分かるかと思いますが、軸には同じ
ぺんてるのGRAPHLETを使っているのです。

こんな感じで、グリップから先を取ると全く同じです。グリップの作りが全く違うのでこれには気づかないでいました。

ただ、先端とグリップを取っただけではまだ交換できません。GRAPHLETの方にはさらにまだ金属リングが付いており、これが接着してあるので切除する必要があります。私の場合、やすりで削り、ペンチで摘んで剥し取りました。内部機構は全く同じなので取り替える必要はありません(というよりも、これ以上分解することは困難です)。リングの切除作業以外は実に簡単に取り付けることが出来ます。
ここで使用したグラフレットの軸は手元にあった現行の再生樹脂軸のものなんですが、やっぱりこれも以前使われていた材質のほうが良いですね。私の欲しいのは0.7mmなんですが、まだ手に入るかどうか・・・。
ところで、こちらのノックボタン、これも海外仕様に合わせてあります。これはGraphGear 500のものでもGRAPHLETのものでもないのですが、どのシャープペンシルのノックボタンが使われているか分かりますか?
(ヒントは文章中に・・・)
《参照リンク》Pentel of America. Ltd -
GraphGear 500
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- 2007/12/08(土) 16:00:00|
- 0.2 - 1.8 mm
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4色ペンシルの3本目は、MAGUSのペンシルです。MAGUS社というのは詳細は不明なのですが、恐らくドイツのものかと思われます。
このペンシルは前回のUSUSと同様、繰り出し部が軸にありません。もちろんこれもスライド式ではないのですが、USUSとはまた違った機構になっています。この機構が実に面白い。

こんな感じで尾部を引っ張ると伸びるようになっています。この中から出てきたパイプ部には溝があるのですが、この溝を軸の端にある色表示の
●●●●に合わせて尾部を押し戻すと、先端が出るようになっています。内部は分解できないのですが、恐らくスライド式と似た仕組みだと思われます。この状態で尾部を廻すか、クリップ付近にある■型の引っ掛け用の穴を押すと、先端が収納されます。このちょっと大掛かりな先端を出す仕組み、やってみると楽しい。画像だけでは上手く伝えられないのが残念です。

先端部分は長い状態のみでやはり少し斜め気味に出ます。USUSほどではないでしょうが、おそらく4色ペンシルの中では古い部類になるかと思われます。ミントコンディションだったので回転繰り出しもスムーズです。

他のペンシルと同じように尾部は替え芯入れになっています。芯を入れるスペースは結構広く、奥行きも3センチくらいの芯が入るようになっています。とはいえ、繰り出し部には長くて2センチほどしか入りません。
今まで紹介した4色ペンシルは、現在もその仕組みが多色ボールペンなどで受け継がれていますが、このMAGUSの仕組みはこのペンシル以外、管見の範囲では見当たりません。確かに、ちょっと芯の色を変えるときにこれではめんどくさいし、製作するのに複雑なのもあるのかもしれません。ただこのカチャカチャと軸を伸ばしたり戻したりする何か合体変形ロボットの玩具みたいな感覚が、個人的には他の機構よりも気に入っています。
- 2007/12/07(金) 22:30:00|
- 0.2 - 1.8 mm
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4色ペンシルシリーズの2回目は、ドイツusus製のペンシルです。磁石を使った奇抜なデザインのボールペンを出しているususと、このペンシルのususとは関係があるかは不明です。
4色ペンシルですが、軸にはスライド部も溝もありません。見たところ単色のシャープペンシルのようですね。このペンシル、先端を出す仕組みはスライド式ではなく、尾部を廻す仕組みになっています。

この部分を廻していくと、黒→赤→青→緑→黒・・・(順不同)のように、先端がリレー方式で出入りします。ポプラやニューマンの2色ペンシルの螺旋とは違い、スプリングを使った仕組みです。私は密かに「60年前のシャーボX」と呼んでいます(よく考えたら「ボ」ではありませんね)。60年前なのか70年前なのかは分かりませんが、1930年代以降のものと思われます。先端部分は繰り出しただけでは潜ってしまいますが、ちょっとだけ逆方向に廻すと固定されるようになっています。

先端部分はこんな感じで「長い状態」で出ています。他の4色ペンシルと同じように先端を廻して繰り出す仕組みです。4色ペンシルはこんな感じで先端が斜めになって出てくるのが殆どです。ちょっとこれがかっこ悪いんですけどね・・・。

尾部のキャップを取ると替え芯が入っています。元から入っている芯はかなり短いですね。前の持ち主はこれを使っていたのでしょうか? ちなみに先端には約2センチほどの芯を入れることが可能です。

4色ペンシルでは珍しく、内部を開けることが出来ました。仕組みも大体これで分かります。4本のパイプの中にはさらに芯を繰り出すための棒や螺旋が入っていると思うと、70年前の技術でも凄いなぁと思ってしまいます。

これが4本のユニットの付け根の部分です。このスプリングが中に入っている溝から出っ張っている部分が、軸の内側にある螺旋に引っかかるようになっています。螺旋が途切れると、ユニットがスプリングによって押し出される仕組みになっています。
※注※注 ちょっとややこしくなるので読み飛ばして良いのですが、この仕組みのイメージを平面に直して説明しましょう。軸の内部を平面に展開すると、内部の螺旋は直角三角形のようになります。回転させることで直角三角形は動き、斜辺を出っ張り部分が「登って」いきます。頂上までいくと螺旋が途切れるので、出っ張りは「落下」する形になります。この「落下」は、ユニットがスプリングによって押し出される状態です。落下するとまた直角三角形の斜辺がやって来るので、再度出っ張り部分が斜辺を登っていき、ユニットが収納されます。これを4本のユニットで次から次へと繰り返しているのです。なお、少し逆方向に廻すと先端が固定される仕組みですが、イメージとしては恐らく、「直角三角形」の直角の部分が、小さく四角形状に切り取られているようになっているのでしょう。逆方向に動かし、この切り取られた部分に出っ張りを引っ掛けることで、先端が固定されるものと思われます。・・・とまあ、わかりにくい注付きで紹介しましたが、内部が見られると仕組みが解明できて、何か楽しくなります。先端部も分解して仕組みを見てみたいのですが、分解できたところでパーツが小さくて元に戻せなくなりそうですね。
- 2007/12/05(水) 00:00:00|
- 0.2 - 1.8 mm
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まだボールペンも実用化されていなかった時代、多色のマルチペンといえば1.18mm芯を使用したシャープペンシルでした。現存しないメーカーが殆どですが、各社様々な多色ペンシルを出していました。本ブログでも2色ペンシルを含めて何種類かエントリしておりますが、この多色ペンシル、今では見られない意匠もさることながら、それぞれに特徴的な機構を持っています。そんなわけで、以前紹介したペンシルの他にも何種類か面白いものがありますので、何回かに分けてエントリしたいと思います。
今回は、アメリカNormaの4色ペンシルです。
以前もNorma製ペンシルを取り上げましたが、今回のペンシルとはかなり機構が異なります。以前紹介した方は、
Roger Russellさんのサイトによれば旧型との事です。

これが軸中部にある繰り出し部。ぎざぎざの部分を押してスライドさせると芯が出ます(ちなみにこのギザギザ、私の場合、筆記時に水かきあたりに引っかかってちょっと痛い)。現在の多色ボールペンによくあるスライド式のように見えますが、スプリングが付いてないので、戻すときは同じようにスライドさせて戻さなければなりません。他の色を出すときにはワンタッチで入れ替わらないので、ちょっと面倒です。その点、旧型と比べても簡単な作りになっています。
基本的には簡単な作りですが、工夫されている点もあります。このように溝が「
‡」のようになっていますが、この短い2本の溝にスライド部分を引っ掛けることで先端を2段階に出せるようになっているのです。筆記時は短い先端、芯を繰り出すときは長い先端に出来ます。この2段階は、旧型では出来ないようになっています。

この先端部をつまんでまわすと芯が繰り出されます。繰り出しの仕組みはオートポイントと同じ中押し式です。この仕組みは他の4色ペンシルにも共通です。

尾部のキャップを取ると消しゴムが付いており、これを外すと替え芯入れになっています。なっているはずなのですが、私が持っているのは状態が悪く、消しゴムが潜ってしまい外すことができません・・・。
そんちょさんのブログにも他のNormaペンシル(ドイツ製)がエントリされています。
デザインの周辺-Fend Super NORMA 4 cromeこちらの方はスプリングの付いたスライド式でしょうか。状態も良さそうで素敵なデザインですね。ちょっとこちらの方も欲しいですね・・・。
追記Daveさんのサイトでこれと同じNorma4色ペンシルの広告が紹介されています。
Dave's Mechanical Pencils: Advertisement 4 - Norma 1950ここで紹介されているものは1950年代であるとのことです。
- 2007/12/02(日) 01:49:52|
- 0.2 - 1.8 mm
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