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the uncomfortable chair

好きなものや思ったことなど。

Converting Pentel Graph 600 0.5 mm into 2.0 mm #1

Graph600_20.jpg

手元にあったPentel Graph 600の改造芯ホルダーを知人にあげてしまったのですが、また欲しくなってしまいました。改造方法は、以前から紹介しているKoh-I-Noor Tecnigraph 5611系統の芯ホルダーを使う方法なのですが、改造方法についてはこれまでさほど詳しく紹介していなかったと思われます。そんなわけでこの際、工作するついでに何回かに分けて順を追ってエントリしたいと思います。 まずは予備的な説明から。


1, 芯ホルダーの構造

まず使用する芯ホルダー(STILUS SECOLGRAF 151 TOTOMINA)を分解してみましょう。クラッチを出しつまんで回すと、クラッチ部分が外れ、中の部品が出てきます。

into2mm1.jpg

分解するとこんな感じです。 改造には軸とクリップ以外の部品を使います。

into2mm1-2.jpg

この尾部にある短筒状の部品は、筒の中でバネを受けています。この部品とノックボタンとでバネを両端で受け、このバネが伸び縮みすることで、先端部のクラッチが、パイプの動きに連動して出たり入ったりするようになっています。 またクラッチ部分は、口金部分の穴よりも大きいので、最後まで潜り込まずに途中で止まるようになっています。

と、説明するのが蛇足なくらい、実に簡単な構造なのですが、これを見ると、先端側がクラッチの潜り込まない程度の大きさの穴で、なおかつ尾部側が短筒のパーツをはめ込められる大きさの穴になっている「筒」が出来れば、どんなものでもこの部品で芯ホルダーにすることができるのが分かります。

そんなわけで次回から、Graph 600でこのような「筒」を作っていきます。


  1. 2009/04/15(水) 01:20:00|
  2. 2.0 - 5.8 mm
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wooden barrels

wooden_barrel_1.jpg
最近、約50,000年前のAncient Kauriという木から作られた、2.0mmノック式ペンシルをいただきました。もっぱらプラスチック軸の安いペンシルばかり使っているので、木軸の感触というのもなかなかだなと、今更ながら気づいた次第。他にも木軸のペンシルが欲しくなってしまいました。

そんなわけで、木軸ということで真っ先に思い浮かんだのが、PILOT S20。芯径が個人的にあまり使うことのない0.5mmと0.3mmしかなく、2,000円ということもあってか、文房具店でも手に触れる程度で今まではあまり購入しようとも思っていなかったのですが、ここはひとつ、「例の方法」で改造でもしてみようかと思いました。

wooden_barrel_2.jpg
fitting the Tecnigraph 5611's clutch into the Pentel Graph 600's barrel

Koh-I-Noor Tecnigraph 5611系芯ホルダーの内部機構を移植する方法の場合、上の画像のように、クラッチ部分のパーツが軸内に入るようにするために、口金取り付け部の穴を削って拡げる必要があるのですが、このパーツよりも取り付け部の直径が小さい場合は、改造が困難になります。例えばぺんてるのGraphGear 500やGraph 600の場合、この直径が十分大きいので問題はないのですが、Graph 1000になるとぎりぎりの直径になってしまうので、慎重に穴を拡げたり、口金を取り付ける際に接着剤で補強したりする必要があります。

で、S20なのですが、購入して口金を外してみると、どう見ても穴が小さい。Tecnigraph 5611のパーツでは大きすぎて入れることが出来ません。さすがにこれは難しいなと思ったのですが、以前分度器さんのところで購入したLYRA EXPERT 6614が小さいクラッチを使っていたのを思い出して、大きさを比べてみると、これが正解。2000円のシャープペンシルをジャンクにする恐れもあり、改造する段になって多少ためらいもあったのですが、思い切って作ってしまいました。

wooden_barrel_3.jpg
the Pilot S20 pencil altered into a 2.0 mm leadholder

クラッチが小さいこともあって、製図用シャープの細い先端とも違和感がなく、なかなかカッコよく出来上がったと思います。 このクラッチを使うと、今までのTecnigraph 5611系のものよりも改造できる種類が増えるのが嬉しいのですが、LYRA EXPERT 6614は製造中止のため、新たに手に入れることができないのが残念です。


  1. 2009/03/14(土) 15:55:46|
  2. 2.0 - 5.8 mm
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GraphGear 500 2.0mm Leadholder

Graphgear500_20_1.jpg

タジマのすみつけシャープ(メタルヘッド)1.3mmを手に入れたのがそもそもの始まり。

ノック部(ぺんてるのマークシートシャープと同じ)がポリ素材で何か安っぽいので、この部分を何とかしたいと思い、蒐集箱をいろいろ探し、金属パーツのノック部分を取り付けてみました。このパーツは、Autopoint Autopencilのノック部。これをただ取り付けることは出来ないので、軸内部とパイプ部分をやすりで削って取り付けました。

難しかったのが、この削る前までの過程。それぞれのパーツを削るためには、分解と組み立て直しができなければならないのですが、クラッチとパイプは嵌め込むことができても抜けないような作りになっているので、ここが外れないかぎりは分解することは出来ません。考えること数日・・・思いついたのが、壊さずに分解するのを諦めて2本のシャープからそれぞれの部品を取り出す方法。まあ、この程度で数日考えてしまうのもどうかと思いますが・・・。幸い、Pentel Teachy's 1.3のクラッチ部分がすみつけシャープと同じなのが分かったので、その分安上がりに済みました。なお、上の画像では本来の黒軸ではなく赤軸になっていますが、この部分はメタルヘッドではない1.3mmすみつけシャープ(赤)の軸を取り付けてみました。この部分はメタルヘッドのすみつけシャープもぺんてるのマークシートシャープも同じつくりですので、そのまま取り付けることが出来ます。

・・・と、ここで筒状になった軸を見て「もしかしたら・・・」と思いました。この先端の穴をドリルで拡げ、ドロップ式の芯ホルダーの機構を中に入れれば、簡単に芯ホルダーが出来そうな気がしたのです。GraphGear 500と同じグリップの芯ホルダー、これはぜひ作ってみたいと早速実行に移すことに。とはいっても、まともな改造など一度もやったことが無いので、東急ハンズで必要そうな工具を揃えました。

【揃えた工具類】
・手動ドリルとドリル刃(合わせて2,500円程度。意外と安い?)
・バイス(万力。2,000円程度)
・パイプカッター(800円程度)
・棒やすりセット
・ラジオペンチ
・紙やすり
・板ゴム(万力で挟む際に部品を保護する)
・マスキングテープ(やすりがけ部分以外を保護する)

ラジオペンチと紙やすり以外は初めて買ったのですが、ホームセンターや道具店だともっと安く済むかもしれません。ドリルもピンバイスなどで済ませることが出来そうです。100均ショップで入手できるものもあるでしょう。

一方、流用する芯ホルダーの機構部ですが、例えばステッドラーの780Cや現行のユニホルダーは、クラッチ部分を取り外せないため向いていません。また、軸内部に加工があるもの(スプリングを固定するための「引っ掛け」部分が出来ているものなど)も、違う軸では使用できません。

Graphgear500_20_2.jpg

当初は旧ユニホルダーの機構部を使おうと思ったのですが、穴を開けているうちにいつの間にかクラッチよりも大きい穴になってしまいました・・・。そこで、Koh-I-Noor Super-Adapto 5616のパーツが穴にピッタリだったので、こちらを使ってみることに。これに合わせて軸内部もドリルとやすりで拡げ、パイプを切り取り、Super-Adapto 5616の機構部を流用して組み立てました。ノックボタンはパイプをやすりで削りながらねじ込んで取り付けなおしています。このノックボタン、しっかりねじ込んで取りつけておかないと、スプリングに押されて勢いよく飛んでしまうので注意が必要です。
かくして、どこにも売られていないGraphGear 500 2.0mm(改造したのはすみつけシャープですが・・・)が完成しました。

Graphgear500_20_3.jpg

ところでこのKoh-I-Noor Super-Adapto 5616や同構造のTechinigraph 5611*を使う方法、軸が適当な大きさの軸になっていればあらゆるものに流用できそうです。
*他にはSTILUS SECOLGRAF 151 TOTOMINAが同じつくりです。似たような形でも、Alvin Tech DAやCretacolor TOTIENSなどではノックボタンを取り付け直すことはできないのでご注意。

Graphgear500_20_5.jpg

GraphGear 500でも出来そうだったので作ってみました。すみつけシャープとグラフギア500の「メタルヘッド」は同じように見えますが、実は若干違っています。すみつけシャープに比べてグラフギア500は先端の円錐部が細くなっているため、加工するとこのように円錐部をすべて切除しなければなりません。個人的にはすみつけシャープの先端の方が好きですが、芯を出したときの先端はグラフギア500の方が良いかもしれません。ちなみにこの改造は、ラジオペンチとやすりだけで加工しています。

改造まにあさんのサイトを見ていつも羨ましいと思っていたのですが、その足元には及ばないとはいえ、結構意外と簡単に改造が出来ました。いつかは改造まにあさんみたいに「ぺんてるケリーノック式2.0mm」みたいな名作も作ってみたいものです。最近出たサンスターのシャーピッツや谷川商事のシャープ鉛筆を見て、どうだろうと考え出したりして。

※なお、改造とそれに伴う諸々の事柄については、あくまで自己責任でお願いいたします・・・特にノックボタンは危険ですので。

  1. 2008/11/30(日) 16:00:00|
  2. 2.0 - 5.8 mm
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KOH-I-NOOR L. & C. HARDTMUTH No. 43B

Hardtmuth43b_1.jpg

Koh-I-Noor Hardtmuthの太芯ホルダー、No. 43B。双頭式の芯ホルダーです。
eBayで手に入れたのですが、かなり古いものかと思われます(1930年より前か?)。
ちなみに"Hardtmuth"というのはKoh-I-Noorブランド創始者の姓。
Henry Petroski "The Pencil: A History of Design and Circumstance"(1989)の翻訳、
『鉛筆と人間』(晶文社 1993年)では「ハードムット」と表記されていますが、
これが英語圏の発音なのか東欧圏での発音なのかは不明です。

Hardtmuth43b_2.jpg

軸には材質は分かりませんが固めの木が使われています。
かなり年代が経っていると思われるので、厚めの塗装が剥がれやすくなっており、
撮影している間にも結構剥がれてしまいました。

Hardtmuth43b_3.jpg

中の構造は非常に簡単です。口金と軸が螺合されているのですが、
この口金を締めることで、口金内部が中のクラッチを押して、芯を固定するようになっています。
繰り出し量の調節には多少手間が掛かるかもしれませんが、5.8mm芯ということもあって、
そう頻繁に芯を繰り出す必要はないので実際の使用にはあまり問題がないと思われます。

今回のエントリには、珍しい双頭式のペンシルを紹介する意図もあったのですが、
「どっかでこれ、作ってくれないかな」というささやかな願望もあったりします。
構造も簡単で作りやすそうだし、2色の固形マーカーは個人的には「すぐれもの」だと思います。
芯径もダーマトグラフの規格に合わせれば、専用替え芯を作る必要はありませんし・・・どうでしょうか?

Hardtmuth43b_4.jpg

  1. 2008/07/06(日) 13:00:00|
  2. 2.0 - 5.8 mm
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"Immerspitz" 2.0 mm leadholder

immerspitz_1.jpg

これまた驚きのものを手に入れました。ある方から譲っていただいた芯ホルダーですが、どの辺が「驚き」かは追々書いていくこととしましょう。結構この機能を説明するのは難しいので・・・。それにしても最近はいろんな方の協力で素敵な文具が手に入ります。いつも皆様に感謝ばかりです。

immerspitz_2.jpg

メーカーは不明ですが、クリップには"Immerspitz"と書いてあります。immerもspitzもドイツ語ですので、ドイツで作られたものでしょう。ちなみに芯はカランダッシュ製のものが使われており六角軸なので、もしかしたらカランダッシュの製品なのかもしれません。スイスもドイツ語圏なのでそれも考えられます。なお、immerとはドイツ語で「常に」、spitzとは「尖っている」を表わします。英語のEver-Sharpと何か対応しているようにも思われますが、このimmerは「その都度」という意味での「常に」という意味なので、永続性を表わすeverとは違った意味になります(ちなみにドイツ語でeverに対応する語はewigでしょうか)。そもそもエバーシャープがeverなのは、芯が細いからで、2.0 mm芯は常に細いと到底思えません。
もちろん、この「常にその都度尖っている」という意味が、驚きの機能のヒントになっている訳なのですが・・・。

immerspitz_3.jpg

この状態で尾部を押すとドロップ式で芯が出ます。このボタンは黒い部品の部分がクルクル回るようになっています。これを廻しても特に何も無いのですが、実はこの仕組みには理由があります。

immerspitz_4.jpg

尾部を少し廻すとロックが外れ、スプリングに押し出された形でこんな感じでねじり棒が出てきます。この螺旋の棒は回転しながら出入りするようになっています。黒いボタンがクルクル回っていたのは、棒を押し入れる際にボタンが棒と一緒に回転しないようにするためだと思われます。芯を出すモードの他に、内部の棒を回転させて出し入れするモードになるのは、もちろんこのペンシルの特殊な機能とかかわりがあるのですが、さらに他の部分を見てみましょう。

immerspitz_5.jpg

軸の頭部を外すと、こんな感じになっています。クラッチ「のようなもの」とそれを押さえるワイヤで出来ています。この状態は尾部がロックされている状態で、ちょっと見え難いかもしれませんが、芯がクラッチ「のようなもの」の溝に納まっています。ところで、先ほどから回りくどく、「クラッチのようなもの」と書いていますが、実のところ、これはクラッチではありません。この状態で尾部のロックを外し、内部の螺旋棒を出し入れしてみると分かるのですが、このクラッチ「のようなもの」のギザギザ上を芯が動くことで芯が削れ、素晴らしいことに、芯が研げるようになっています。クラッチ「のようなもの」の溝に芯が上手く納まっているのはそのためです。実は、この「クラッチのようなもの」は、芯研ぎだったのです。螺旋で内部が回転するようになっていたのは、芯を削って綺麗な円錐形に研ぐために、どの面にも芯研ぎが当たるように芯を回転させるためなのでした(螺旋棒の内部に芯を固定する金属チャックがあるので、螺旋棒の回転と共に芯は回転します)。なお、削りかすはペン先を下にすると落ちるようになっています。
※この段落は魚眼さんの指摘を受けて加筆訂正しました(2008/01/28)


繰り出し部に芯研器を内蔵した芯ホルダー。それが"Immerspitz"の名前の由来だったのです。


Tru-point Automaticの場合もそうですが、古いペンシルのこういった便利で興味深い機能が現代に受け継がれていないのは何故なのか気になります。もしかしたら他にも驚くべき機能をもったペンシルがまだあるのかもしれませんね。


【参照サイト】
デザインの周辺 - 珍しい芯ホルダー
そんちょさんも私より先に入手していました。私よりも上手く機構を説明しているかも。
併せてご参照ください。


immerspitz_6.jpg



  1. 2008/01/27(日) 02:57:16|
  2. 2.0 - 5.8 mm
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